精神障害のある人が何らかの事件を起こし、又はその疑いをかけられた場合の流れについて、紹介したいと思います。
医療観察法対象事件か否か
医療観察法対象事件は、殺人や放火等の重大事件です。
医療観察法対象事件で精神障害を理由に不起訴となった場合には、検察官から裁判所に対し、対象者を医療機関に入院させることを求める申立てがされることになります。裁判所が対象者を入院させる旨の決定をすれば原則3年間は入院させられることになります。
医療観察法対象事件ではないとき
医療観察法の対象事件ではないときにも、精神障害を理由に不起訴となった場合には、検察官から都道府県知事にその旨の通報がされることで、精神保健福祉法上の措置入院となる可能性があります。措置入院となった場合には、もちろん本人が自由に外出することはできず、また自分で病院を選ぶこともできません。
公訴提起された場合
対象者に精神障害があったが、検察官が不起訴処分とせず、公訴を提起した場合には、公判の手続きにおいて主に責任能力の有無が判断されることになります。具体的には、対象者が心神喪失者に該当するときには無罪となり、心神耗弱者に該当するときは刑が減刑されます。
「心神喪失」は精神の障害により、①事物の理非善悪を弁識する能力(事理弁識能力)または②その弁識に従って行動を制御する能力(行動制御能力)がない状態です。「心神耗弱」は精神の障害によりこれら①または②の能力が著しく減退した状態です。
対象者の責任能力について、検察官の嘱託による鑑定か、裁判所の鑑定令状による鑑定か、あるいは弁護人の行う当事者鑑定(私的鑑定)等を参照して判断されることになります。
公判において、対象者の精神障害を理由として無罪ないし執行猶予の判決がでた場合には、それが医療観察法対象事件であれば引き続き入院に関する審理が行われることになります。医療観察法対象事件ではない場合には、事前に予定していた医療機関にそのまま入院をするか、その後定期的に通院していくことになります。
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