「個人のイラストレーターがSNS上に自身で作成したキャラクターイラストをアップしていたところ、ある会社から、そのキャラクターを利用させてほしいと言われた場面」などを想定して著作権のライセンス契約について注意するべきポイントを紹介します。

ライセンス契約とは

著作権者が著作物の利用を他者に許諾する契約をライセンス契約と呼びます。

ライセンスを許諾する著作権者をラインセンサー、許諾をもらうこれを利用する側をライセンシーと呼びます。

ライセンス契約では、著作物の利用許諾の範囲や、利用許諾にあたっての使用料について定めます。

なお、著作権そのものを譲渡する場合には別途著作権譲渡契約などを締結することになり、利用のみを認めるライセンス契約とは異なります。

ライセンスの範囲

ライセンシーが著作物を利用する範囲に関する条項です。

次の項目などについて定めておきます。

  1. 使用できる地域的範囲
  2. 使用できる期間
  3. 著作物の改変

使用できる地域的範囲としては、日本国内においてとするのか、日本国内のみならず国外も含むのか、他方関東などに限定するのかについて定めます。

使用できる期間としては●年●月●日から●年●月●日までと明確に定めます。

イラストの著作物をグッズ化するなどした場合には著作権の改変として、著作権侵害になりえます。そのため、改変できる範囲を事前に定めておきます。

条項例

(ライセンスの範囲)

1 乙は、日本国内において、本キャラクターを商品化、映画化、ノベライズする権利を有する。

2 本契約の有効期間は●年●月●日から●年●月●日までとする。

独占か、非独占か

ライセンスの独占は、一社だけにライセンスを認める場合です。

非独占は、複数の相手にライセンスを認める場合です。

非独占のライセンスを受けたライセンシーとしては市場において競合することになります。

他方、独占のライセンスはライセンサーのライセンス契約を制限します。

条項例

(独占的ライセンス)

甲は、乙に対して、別紙のイラストを独占的に利用する権利を許諾する。

ライセンス料

一定期間ごとに継続的に支払われる利用料をランニング・ロイヤルティと呼び、はじめに一定額を支払う利用料イニシャル・ペイメントと呼びます。

必ずしもどちらかにする必要はなく、併用でも可能で、利用料をいくらにするかという規制もありません。

ただし、いついくらのライセンス料を支払うかを明確に定めておくべきです。

条項例

(ライセンス料)

1 甲と乙は、本件のライセンス料を●円とする。

2 乙は、甲に対し、前項のライセンス料を毎月末日限り支払う。

まとめ

以上の条項のほか、実際のライセンス契約では表明保証や著作権者の表記、契約違反に関する条項など定めておくべき項目は多岐にわたります。

また、それぞれの事情によって定めておくべき条項は異なり、単にひな形を利用するだけでは後の紛争を予防するために不十分です。

ライセンス契約は特に専門的知見が必要ですので、ライセンス契約については専門家への相談をおすすめします。

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