「相続放棄は簡単」と聞くことがあると思います。では、本当に相続放棄は簡単なのでしょうか。相続放棄の手順や注意点などについて解説します。
相続放棄とは
相続放棄は、プラスの財産もマイナスの財産もすべて相続しないことです。
相続放棄の手続きは家庭裁判所に対して行う必要があります。
相続人間で相続放棄の合意をしても法的に相続放棄を行ったことにはなりません。
相続放棄の手順
必要書類の収集
以下の書類を収集する必要があります。
・被相続人の住民票除票又は戸籍附票
・相続放棄する方の戸籍謄本
・被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
(相続放棄する方によっては追加の書類が必要な場合があります)
相続放棄申述書の提出
【STEP1】で集めた戸籍等と家庭裁判所所定の相続放棄申述書を管轄の家庭裁判所に提出します。
その際、収入印紙800円分と連絡用の郵便切手が必要になります。
※管轄の家庭裁判所は被相続人の最後の住所地を管轄する裁判所です。
※連絡用の郵便切手は裁判所ごとに異なります。
照会書に回答
書類を家庭裁判所に提出すると、家庭裁判所から「照会書」という質問状が届きますので回答します。
回答に問題がなければ、家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が届き、これで相続放棄は完了になります。
相続放棄の注意点
期限は3か月!
相続放棄は、相続があったことを知った時から3か月以内にしかできません。
この3か月の期間は延長の請求ができます。
仮に3か月を経過していたときには「相続財産が全く存在しないと信じ、そのように信じるにつき相当な理由があった場合」に限り、相続放棄できるとされています(最高裁判所昭和59年4月27日判決)。
しかし3か月の期間を徒過しそうになった場合には、延長の請求をするなどしてできるだけ期間を遵守するべきです。
後順位者に相続権が移る
推定相続人は、子→親→兄弟という順位が付けられています(※配偶者は常に相続人です)。
相続放棄は相続開始の時から相続人ではなかったことになるため、先順位の相続人が相続放棄をした場合には、後順位の推定相続人に相続権が移ることになります。
被相続人に多額の負債があり、相続人がこれを免れるために相続放棄を行う場合には、順を追って推定相続人の全員が相続放棄を行っていく必要があります。
相続財産の処分をすると相続放棄できなくなる
相続財産を処分した場合には、相続財産を単純承認したものとみなされ、相続放棄はできなくなります。
仮に、相続財産にマイナスの財産はないと思っていたので、被相続人の残した財産を売ったといった場合には、後に多額の負債が見つかったとしても相続放棄はできません。
もっとも、被相続人の形見分けや葬儀費用を被相続人の財産から支出したような場合には、相続財産を処分していても例外的に単純承認とはならず、さらに相続放棄が可能です。
まとめ
相続放棄自体は単純な手続きであるものの、前記の注意点をはじめ、推定相続人に成年被後見人がいたり、利益相反の関係にあったりなど、以外にも注意するべき点は多いといえます。
できる限り専門家への相談をおすすめします。
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