強制執行は相手方の財産を強制的に取り上げて債権回収を試みることですが、そもそも相手方の財産がわからなければ空振りのリスクを高めます。そこで、相手方の財産を調査する方法として財産開示手続きを紹介します。
財産開示手続きとは
財産開示手続きとは、相手方を裁判所に呼び出して財産の種類を有無を聞き取る手続きです。
違反者に対して6月以下の懲役又は50万円以下の罰金という刑罰があり、これにより実効性を高める制度になっています。
財産開示手続きの申立てとその流れ
申立要件
以下の要件を満たす必要があります。
① 債務名義を有すること
② 強制執行を行ったが回収できなかった、又は強制執行のしても回収の見込みがないこと
まずは、➀として債務名義が必要ですので、訴訟を提起して判決を取得するなどして債務名義を取得する必要があります。
次に②の要件については、例えば交通事故の損害賠償請求であれば、もともと相手方と面識がないので、その財産等については当然知らないということで満たされます。
裁判所への申立て
以下の必要書類を用意して裁判所に財産開示手続きの申立てを行います。
・申立書及び目録等
・執行文付き債務名義
・債務名義の送達証明書
・収入印紙(2000円)及び予納郵便切手代
財産開示手続きの開始決定
申立てを受けた裁判所は財産開示手続きの開始決定を行い、約1か月後に財産開示期日が指定されます。
相手方である債務者は期日前に財産目録を提出します。
期日当日は、申立人である債権者から債務者に対して質問することができます。
債務者の不出頭や虚偽の陳述があった場合には、刑罰が科される状態になります。
注意するポイント
債務者への拘束力が低い
債務者への不出頭等があった場合には、刑罰が予定されていますが、法律上規定されていることと実際に科されるかは別の問題です。
実際に債務者の不出頭等があったとしても実際に警察官が動き、罰金等が科される事案は稀です。
そのため実際に財産開示手続きを無視したとしてもお咎めなしとなることも少なくありません。
実効性に注意
財産開示期日が開かれ、その期日で債務者の預金口座が明らかとなったとしても、その場で差押えをすることはできず、預金の差押えは、債権差押えとして別途の手続きを行う必要があります。
そのため、実際の強制執行時に財産がなければ、そこから債権の回収をすることはできません。
財産開示の手続きはあくまで財産調査の手段にすぎません。
まとめ
以上のように、財産開示手続きは刑罰に保証された有用な制度のように見える一方で、様々なデメリットがあります。
財産開示手続きを思い立った場合には専門家への相談からはじめることをおすすめします。
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