「何年も親の介護をしてきたのに、遺産は兄弟で平等?」「実家の家業を無償で支えてきたのに、何も報われないの?」
こうしたご相談を相続の場面で受けることは少なくありません。
ご本人にとっては当然の主張でも、法定相続分では考慮されないことが多く、「納得がいかない」というお気持ちになるのも無理はありません。
今回は、そのような“特別な貢献”が評価される可能性がある制度──「寄与分」と「特別寄与料」について、簡単に解説します。
「寄与分」とは?──相続人の特別な貢献を考慮する制度
寄与分とは、被相続人(亡くなった方)の財産の維持や増加に特別な貢献をした相続人が、法定相続分よりも多く遺産を受け取れるようにする制度です。
たとえば、以下のようなケースが対象となり得ます
- 長年、無償で親の介護をしていた
- 家業を無給で手伝っていた
- 被相続人の資産運用や事業を支えていた
「言った言わない」で揉める?──寄与分は主張と証拠が重要
寄与分をめぐるトラブルは相続の中でも非常に多いです。
というのも、「私の方が親に尽くした」という主張は、他の相続人にとっては納得しづらく、客観的な証拠がないと裁判でも通りにくいためです。
たとえば
- 介護日誌や訪問看護の記録
- 通帳の出金記録(介護費用負担)
- 家業での実働を示す帳簿やメール
このような証拠を事前に集めておくことで、寄与分の主張がしやすくなります。
相続人以外も請求できる?──「特別寄与料」制度
特別寄与料とは、相続人でない親族も「特別な貢献」をしていた場合、相続人に対して金銭を請求できる制度ができました。
たとえば
- 嫁いだ長女が親の介護を続けていた
- 長男の妻(義理の娘)が無償で世話をしていた
こういった場合でも、相続人に対して金銭的な補償を求めることができます。
ただし、請求には期限があります。
相続開始と相続人を知ってから6か月以内、かつ相続開始から1年以内に請求しなければなりません。
まとめ──「がんばった人」が報われる相続を目指して
親の介護や家業への貢献は、金銭では計れない価値があります。
しかし現行の相続制度では、そのままでは評価されにくいのが実情です。
寄与分や特別寄与料は、「がんばった人が報われる相続」を実現するための制度です。
ただし、適用されるには法的なハードルも高く、事前の準備や専門家のアドバイスが不可欠です。
【監修】

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