「友人に貸したお金が返ってこない」「連絡が取れなくなった」──
このようなトラブルは決して珍しいことではありません。
しかし、焦って強引な取り立てをすると、逆に自分が罪に問われてしまうリスクもあります。
今回は、相手が音信不通になった場合に取るべき対応と、警察ではなく弁護士に相談すべき理由について、弁護士の視点から分かりやすく解説します。
「お金を返さない」は犯罪?それとも民事?
まず知っておくべきは、お金を返さない行為がすぐに犯罪になるわけではないということです。
通常、金銭の貸し借りは「金銭消費貸借契約」として民法に基づく債務不履行の問題であり、原則として民事トラブルに分類されます。つまり、借りた側が約束通り返さない場合でも、それだけでは警察が介入する「刑事事件」にはなりません。
ただし、最初から返すつもりがなかったと認定できる事情がある場合には「詐欺罪」として刑事事件になる可能性もあります
警察よりも弁護士に相談すべき理由
金銭トラブルにおいて多くの方が最初に警察に相談されますが、次の点から弁護士への相談が適切です。
民事不介入の原則
警察は基本的に民事事件には介入しないとされています。返済トラブルはあくまでも契約上の問題であるため、詐欺などの明確な犯罪がない限り、警察が動くことはありません。
間違った対応で逆に訴えられるリスクも
- 債務者の職場に押しかけた ⇒ 威力業務妨害
- 家族や知人に話した ⇒ 名誉毀損
- 強い口調で返済を求めた ⇒ 脅迫・恐喝
このように、自己流で回収を進めることは大変危険です。法的手続に則って適切に進めるには、弁護士の助力が必要不可欠です。
まずやるべきこと
相手が連絡を絶った場合でも、すぐにあきらめてはいけません。
まずは「内容証明郵便」で返済を求める通知書を送付しましょう。
内容証明郵便とは、どのような内容の手紙を、誰に、いつ送ったかを郵便局が証明してくれる制度です。これにより、
- 債務者に対して正式に返済を求めた証拠となる
- 時効を一時的に中断できる
という重要な効果が期待できます
貸したお金を取り戻す4つの法的手段
債務者が任意に返済しない場合、次のような法的手段を検討します。
- 民事調停
裁判所で第三者を交えた話し合いによって解決を図る方法です。 - 支払督促
簡易裁判所に申し立てて、相手に支払い命令を出してもらう手続です。 - 少額訴訟
60万円以下の金銭請求なら、迅速な判断を得られる簡易裁判所の特別手続です。 - 通常の民事訴訟
証拠を提出し、裁判所に判決を求める正式な手続です。
これらはいずれも専門的な準備や法的知識が必要となるため、弁護士に相談しながら進めるのが確実です。
時効にも要注意!
金銭の返済請求には「消滅時効」があります。
現行法では、原則としてお金を貸した時から5年間です
時効が成立してしまうと、請求しても返してもらえない可能性があります。したがって、「連絡がつかないから放置」するのではなく、早めの行動が肝心です。
まとめ
お金を貸した相手が音信不通になったとしても、慌てて警察に駆け込む前に、まずは弁護士に相談しましょう。
- 警察は民事に介入できない
- 誤った取り立ては法的リスクがある
- 内容証明郵便や法的手段を講じることで回収の可能性が高まる
- 時効があるので早期対応が大切
貸したお金の回収には、冷静かつ法律に則った対応が必要です。音信不通になった相手に対して、適切に対応したいという方は、債権回収に強い弁護士にご相談ください。
【監修】

- 代表弁護士
- 年間数百件の法律相談を受け、年間100件以上の法律問題を解決しています。
「より良い解決」「迅速な解決」を大事にしており、個々の事案に適したスピーディな進行・解決を心がけています。
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