交通事故に遭った被害者の多くが、事故後しばらくして保険会社から「示談書」が届くことになります。
「とにかく早く終わらせたい」と思うかもしれませんが、示談書にサインしたあとでは、原則としてやり直しはできません。

今回は、示談書の基本的な役割や記載内容、交わす際の注意点、弁護士に相談するメリットについて分かりやすく解説します。

示談書とは?その役割と意味

交通事故における示談書とは、「誰が、何を、いくらで、どう解決したか」を明確に書き残す合意文書です。

示談書を取り交わすことで、事故に関する法的なトラブルを終結させることになります。
つまり、一度サインすれば、その事故については原則として追加請求ができなくなるという点が最大の注意点です。

示談書に書かれる内容とは?

示談書には、以下のような項目が盛り込まれています:

  1. 事故の表示
     事故の日時、場所、当事者の氏名や車両情報など、対象となる事故を明確にします。
  2. 示談内容
     損害額(治療費、慰謝料、休業損害など)と支払い方法、時期などが記載されます。
     ※通常は総額表示で、項目別の金額は記載されないことが多いため注意が必要です。
  3. 清算条項
     「本件に関して今後一切請求しません」という合意条項です。これがあると、後から後遺症が出ても請求できないことになります。
  4. 違約条項(任意)
     支払いがなされなかったときの対応(遅延損害金など)について記載します。個人相手の示談では重要です。
  5. 当事者の署名・押印と日付

示談書にサインする前に確認すべき3つのポイント

① 損害がすべて明確になっているか?

事故後、すぐには症状が出なくても、数週間~数か月後に後遺症が現れることがあります。
完治前の示談は避け、医師の診断結果や治療経過を確認してからサインすべきです。

また、物損(車の修理など)と人身(ケガ)の損害がある場合、物損だけ先に示談すると、その時点の過失割合が人身損害にも影響するおそれがあります。

② 示談金の内訳に誤りはないか?

保険会社から提示された金額の内訳(治療費、慰謝料、休業損害など)は必ず確認しましょう。
提示された総額が適正か、弁護士基準と比べて不当に低くないかも重要なポイントです。

③ 清算条項があるか?留保条項が必要か?

清算条項がある場合は、それ以外の損害を請求できなくなります。
後遺症の懸念があるなら、「後遺障害が認定された場合は別途協議する」旨の留保条項を入れておくことで、後の請求を可能にできます。

弁護士に相談するメリットとは?

① 適正な慰謝料が得られる可能性が高い

保険会社の提示額は「任意保険基準」が多く、弁護士が用いる「裁判基準(弁護士基準)」よりも低いことが一般的です。
弁護士が交渉に入ることで、賠償額が数十万円単位で増額することもあります。

② 後遺障害等級認定を有利に進められる

保険会社任せの「事前認定」では、等級認定に有利な資料が提出されないことがあります。
弁護士に依頼すれば、「被害者請求」による戦略的な申請で等級獲得や増額につなげることが可能です。

③ 示談書の内容チェックと交渉も任せられる

示談書の記載ミスや不利益条項に気づかずサインしてしまうと、後戻りはできません。
交通事故に詳しい弁護士であれば、法的な観点から内容をチェックし、不利な条件を修正してくれます。

④ 弁護士費用特約で実質0円になることも

多くの自動車保険には「弁護士費用特約」が付いており、自己負担なしで弁護士に依頼できるケースがあります。
保険料も上がりませんので、特約がある場合は積極的に利用すべきです。

まとめ

交通事故の示談は、「ここで終わり」にするための最終合意書です。
保険会社に言われるままサインしてしまい、あとから後悔する被害者は少なくありません。

損害がすべて確定しているか、金額は適切か、後遺症の可能性はないか──
不安があるなら、まずは弁護士にご相談ください。

【監修】

米玉利大樹
米玉利大樹代表弁護士
年間数百件の法律相談を受け、年間100件以上の法律問題を解決しています。
「より良い解決」「迅速な解決」を大事にしており、個々の事案に適したスピーディな進行・解決を心がけています。
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