銀行口座は日々の生活に欠かせない資産管理の場であり、給料の受け取りや支払いに使われることも多いです。しかし、滞納などによって差し押さえに至ることがある点は見過ごせません。本コラムでは、差し押さえに至る流れ、その後の影響、差し押さえを回避するための方法を弁護士目線で整理して解説します。

差し押さえまでの基本プロセス

  1. 滞納の発生
     借金や支払いが滞ること自体は、すぐに差し押さえに至るわけではありません。最初の遅延だけでは、通常は債務者の権利(「期限の利益」)が失われることはありません。
  2. 法的な手続きの開始
     滞納状態が続き、交渉でも解決しない場合、債権者は裁判所に申し立てを行います。「債務名義」(確定判決や支払督促)を取得することで、差し押さえの法的根拠を確保します。
  3. 裁判所による差押命令
     裁判所が認めると、差し押さえに関する命令が可及的速やかに債務者と銀行に送付されます。この時点で債務者は初めて差し押さえが行われたことを知ることになります。
  4. 預金の取り立て
     差し押さえから一定期間(おおよそ1週間)が経過後、預金は債権者に回収されます。この間に債務者が異議申し立てできる機会が設けられています。

差し押さえ後の口座の利用可否

  • 別の債権者による差し押さえ
     債権者が口座を持つ銀行以外のケースでは、差し押さえ時点の残高は引き出せなくなりますが、銀行口座自体の凍結や利用停止には至りません。給料の振り込みや入金は通常通り可能です。
  • 銀行との借入契約による凍結
     銀行カードローンなどを滞納すると、裁判所手続きを経ず即時に口座凍結を受けることがあります。これは差し押さえとは異なり、入出金や振替も含めた全面的な利用停止となります。

差し押さえのタイミングと回数

  • 差し押さえが実行されやすいタイミング
     給料振込直後や月末など、口座に残高があるタイミングを狙って差し押さえが申し立てられることが多い傾向にあります。
  • 差し押さえが一度きりである点
     1回の申立てにつき1度だけ差し押さえが行われます。その後の入金については対象になりません。

給料債権への差し押さえ

給料が差し押さえ対象となる場合には、借金完済まで継続的に差し押さえが続くことがあります。ただし、給料の1/4以上を差し押さえることは禁止されており、手取り額によっては一定額以上が守られる仕組みもあります。

差し押さえを回避・停止する方法

  • 債務整理による保護
     自己破産や個人再生などの手続を始めることで、差し押さえの申し立てがあった場合でも、手続中は差し押さえの停止が可能です。
  • 弁護士による交渉の効果
     弁護士に相談すれば、債権者が交渉に応じ協議による解決を模索する可能性が高まります。早期相談が抑止力となることもあります。

まとめ

銀行口座の差し押さえは、日常生活に大きな影響を与えるため、精神的にも大きな負担となりえます。しかし、法的手続きを理解し、早期に弁護士に相談することで、差し押さえの回避や停止が可能なケースもあります。無理な資金調達で事態を悪化させる前に、専門家による対応を検討することが非常に重要です。

【監修】

米玉利大樹
米玉利大樹代表弁護士
年間数百件の法律相談を受け、年間100件以上の法律問題を解決しています。
「より良い解決」「迅速な解決」を大事にしており、個々の事案に適したスピーディな進行・解決を心がけています。
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