近年、共働き世帯が増え、離婚時の財産分与を巡るトラブルも複雑化しています。夫婦の双方に収入がある場合、「それぞれの収入や財産は別々のもの」と思いがちですが、法律上は必ずしもそうとは限りません。

今回は、共働き夫婦が離婚する際に「損をしない」ための財産分与の基本的な考え方と、注意すべきポイントについて解説します。

財産分与の基本原則:「2分の1ルール」

離婚にあたっては、夫婦が婚姻期間中に協力して築いた財産(共有財産)を原則として半分ずつに分けることになります。これは「2分の1ルール」と呼ばれ、夫婦のどちらの名義であっても関係なく、婚姻中に形成された財産は対象になります。

共働きで財布が別だったとしても、婚姻生活の中で生じた預貯金、不動産、自動車、有価証券、退職金、家具・家電などは原則として分与の対象です。逆に、結婚前の貯金や相続財産、個人的な贈与財産などは「特有財産」として原則として分与対象になりません。

財産分与の例外的な調整

共働き夫婦でも、ケースによっては2分の1ルールが修正されることがあります。たとえば以下のような事情がある場合です。

  • 一方が浪費・使い込みにより共有財産を大きく減らした
  • 一方が著しく高収入(芸能人・医師など特殊スキルによる)で、貢献度に差がある
  • 一方が事業を成功させ、経営能力によって財産形成に大きく寄与した

このような場合には、財産分与の割合が「6:4」や「7:3」となる可能性もあります。

財産分与だけじゃない!離婚時に請求できるお金

離婚では、財産分与以外にも以下のような金銭的請求が可能です。

  • 慰謝料:不倫やDVなどが原因で離婚に至った場合
  • 婚姻費用:別居中に生活費を支払ってもらう権利
  • 養育費:子どもを育てる親が、相手に請求できる費用
  • 年金分割:婚姻期間中の厚生年金を分割する制度

これらも含めて離婚後の生活設計を立てることが重要です。

話し合いで解決できない場合の手続き

協議(話し合い)で合意できない場合は、家庭裁判所の「調停」、さらに「裁判」へと進むことになります。特に財産分与を巡る争いでは、財産の隠匿や評価方法が問題になることが少なくありません。

こうした場面では、弁護士のサポートを受けることで、調停や裁判で自分の権利を適切に主張できます。

弁護士に依頼するメリット

  • 相手の隠し財産も含めて正確な財産額を把握できる
  • 法律的根拠に基づいた交渉ができる
  • 調停・裁判の手続きを全面的に任せられる

特に共働きで財産が複雑な場合、自力で全容を把握するのは困難です。弁護士に依頼することで、経済的に損をするリスクを大きく減らすことができます。

まとめ

共働き夫婦の離婚では、「自分が稼いだお金は自分のもの」と思い込んでしまいがちですが、実際には婚姻期間中に築いた財産の多くが分与の対象になります。財産分与のルールを正しく理解し、冷静に対応することが重要です。

離婚を考えている方、あるいは離婚の話が進んでいる方は、まずは一度、弁護士にご相談ください。公平で納得のいく解決を目指しましょう。

【監修】

米玉利大樹
米玉利大樹代表弁護士
年間数百件の法律相談を受け、年間100件以上の法律問題を解決しています。
「より良い解決」「迅速な解決」を大事にしており、個々の事案に適したスピーディな進行・解決を心がけています。
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