家族に内緒で認知した子どもがいる場合、その存在をずっと隠し通せるのか――。
「家族が混乱するから知られたくない」と思う方もいるかもしれません。
しかし、結論から言えば 「認知した子どもの存在を相続の場面で完全に隠すことはできません」

今回はその理由と、相続トラブル(いわゆる「争族」)を防ぐためにできる対策について解説します。


認知した子の情報は戸籍に残る

子どもを認知すると、その子の戸籍に認知した父親の名前が記載されます。また、「〇年〇月〇日 認知届出」などの記録が戸籍の「身分事項欄」に明確に残ります。

一方、父親の戸籍には、その子が同じ戸籍に入るわけではなく、「〇〇市△△番地の〇〇を認知届出」といった事実だけが記載されます。

「転籍すれば認知の記録が消える」といった誤解もありますが、転籍や戸籍の書式変更によっても元の戸籍(除籍や改製原戸籍)は保存されるため、調べれば認知の事実はわかってしまいます


相続手続きでバレてしまう理由

相続手続きを行う際には、被相続人の出生から死亡までの戸籍すべてを取り寄せ、相続人を確認します。
このとき、どこかの戸籍に「認知」の記載があれば、認知された子の存在は明らかになります。

つまり、生前に家族に伝えていなかったとしても、死後の相続手続きで必ず明らかになるのです。


「争族」を避ける最善の策は遺言

では、どうすれば家族が揉めずに済むのでしょうか?
答えはシンプルで、「遺言」をきちんと書いておくことです。

遺言によって、誰がどの財産を相続するのかを明確にしておけば、相続人間での話し合い(遺産分割協議)を避けることができます。
また、遺留分(法律上保障された最低限の取り分)を侵害しない範囲であれば、家族の事情に合わせて自由に相続内容を設計できます。

もちろん、遺言の内容に納得できない相続人も出てくるかもしれません。だからこそ、生前に丁寧な説明をしておくことが理想です。


婚外子も相続権は「実子と同等」

平成25年の民法改正により、婚外子の法定相続分は、婚姻関係にある実子と同等になりました。
これはつまり、婚外子の存在が相続に与える影響は大きくなったということです。

従来のように「半分しか相続できない」わけではないため、家族が知らなかった場合の心理的ショックや不満も深刻化しがちです。


まとめ

認知した婚外子の存在は、相続の過程で必ず明らかになります。
それを知らなかった家族にとっては、心理的なショックや不信感につながる可能性もあります。

そのようなトラブルを避けるためには、遺言書の作成を含めた事前の対策が非常に有効です。
ご自身がいなくなった後に家族が円滑に手続きを進められるよう、今のうちから備えておくことをおすすめします。

【監修】

米玉利大樹
米玉利大樹代表弁護士
年間数百件の法律相談を受け、年間100件以上の法律問題を解決しています。
「より良い解決」「迅速な解決」を大事にしており、個々の事案に適したスピーディな進行・解決を心がけています。
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