2025年4月22日、大阪地方裁判所は「モノマネー」という先払い買取現金化サービスを提供していた業者に対し、画期的な判決を下しました。本件は形式上は中古品買取事業ですが、実質的には高金利貸付けにあたるとして、貸金業法違反および共同不法行為責任が認定された点で注目されます。


事案の概要

「モノマネー」とは、利用者が商品の写真データを業者に送付すると、業者が買取代金を先払いするサービスです。形式上は後日商品を送ることになっていますが、期限内に商品を送らなかった場合は、買取代金に加えて30%の違約金を支払う必要があります。

原告はこのサービスを23か月間にわたり毎月利用しましたが、一度も商品を発送せず、すべて違約金を支払っていました。さらに使用した商品写真は自分で撮影したものではなく、すべてインターネット上で入手したものでした。


争点と双方の主張

最大の争点は「本件サービスは貸金業法にいう貸付けにあたるか」です。

原告は、業者が利用者の収入や勤務先を確認し、買取価格に上限を設けるなど、貸付けと同様の信用調査を行っている点を指摘。また、違約金の支払期限が給与日に設定されており、商品の発送先や梱包方法の指示がないなど、実質的に貸金業として運営されていると主張しました。

これに対し被告側は、あくまで中古品買取事業であり、古物商許可を取得して適法に運営していると反論。また、貸金目的での利用を禁止し、必要に応じて刑事告訴も検討していたと主張しました。


裁判所の判断

裁判所は次の点を重視しました。

  • 全取引の約9割で商品が送付されず違約金が発生していたこと
  • 利用者の排除措置を実際には行っていなかったこと
  • 商品保管場所や梱包・発送方法の体制が不自然であり、商品自体への関心が低かったこと
  • 違約金の回収体制が確実に組まれていたこと

これらを踏まえ、裁判所は「本件サービスは実質的に貸金業法に違反する高利貸しであり、違法かつ不法行為にあたる」と判示しました。また、被告会社の代表者も事業実態を把握していたとして、共同不法行為責任を負うと認定されました。判決では、違約金を利息として換算すると年利300%以上となる点も指摘されました。


判決の意義

本件判決は、形式を装った悪質なヤミ金業者に歯止めをかける点で重要です。形式上は中古品買取でも、実質的に高利貸付けであれば、貸金業法違反として違法性が認定されるという明確な基準を示しました。

ヤミ金融は債務者保護の総量規制を潜脱し、過剰貸付けや悪質な利益取得を行う組織的犯罪行為です。本件は単なる個人の損害賠償請求にとどまらず、社会的な意義も大きい判決と言えます。

大阪高裁での控訴審の行方にも注目が集まりますが、先払い買取現金化サービスの違法性を認定した本判決は、今後の同種事案における重要な先例となるでしょう。

【監修】

米玉利大樹
米玉利大樹代表弁護士
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