マンション管理組合にとって、管理費や修繕積立金の滞納は頭の痛い問題です。督促しても応じない所有者がいる場合、放置すれば他の区分所有者との不公平が広がり、マンションの維持管理にも支障をきたします。
このコラムでは、滞納管理費を回収するための強制執行手続きの種類と流れを簡単に解説します。
■ 管理費回収のための強制執行の種類
強制執行の方法は、差し押さえる財産の種類や、管理費の法的性質によって分かれます。主な手段は以下のとおりです。
1. 預貯金や保険を差し押さえる(通常の強制執行)
まずは裁判を起こして「支払い命令の判決」(債務名義)を得る必要があります。そのうえで、預金や保険などの財産に対して差押手続を行います。
注意点として、どの銀行にどの口座があるかなど、相手の財産情報が分からなければ差押えができません。このような場合には、財産開示手続きや情報取得手続きにより調査を行います。
また、訴訟中に相手が財産を処分してしまうリスクもあるため、必要に応じて「仮差押」などの保全手続を検討することも重要です。
2. 区分所有権そのものを競売にかける(区分所有法に基づく方法)
相手の資産が不明な場合や、通常の手段での回収が困難なときには、マンションそのもの(区分所有権)を競売にかける方法があります。
▸ 区分所有法7条:管理費に関する先取特権を使う競売
訴訟なしでも競売申立が可能ですが、住宅ローン等の抵当権がある場合には、その優先順位により管理費は回収できない可能性が高い点に注意が必要です。
▸ 区分所有法59条:共同生活に支障をきたす所有者を排除する競売
悪質な滞納や迷惑行為がある区分所有者に対し、裁判所の判決を得て競売を行う方法です。抵当権が付いていても競売が認められ、管理組合にとって実効性のある手段となります。
まとめ
滞納が続くと回収が困難になるだけでなく、他の住民との関係やマンション全体の管理にも悪影響を及ぼします。相手の対応状況に応じて、訴訟や仮差押、競売などの手続きを選択し、早めに対処することが重要です。
管理費の回収や滞納者対応についてお困りの際は、マンション管理に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
【監修】

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