「『弁護士も労働者?』――そう聞くと意外に思う方もいるかもしれません。勤務弁護士が労働契約法の保護を受けられるのかが争われた裁判で、東京地裁は『労働者には当たらない』と判断しました(東京地方裁判所令和7年2月13日判決)。
1 事件の概要
弁護士である原告は、平成26年に西村あさひ法律事務所にアソシエイトとして採用され、その後カウンセルとなりました。
契約は2年の有期契約で、毎年更新されていましたが、令和4年に事務所側が更新を拒否。これに対し原告は、「契約は労働契約であり、労働契約法18条に基づいて無期契約に転換している」と主張し、
- 労働契約上の地位確認
- 月額150万円の給与等の支払
を請求しました。
2 争点
最大の争点は、原告弁護士が労働契約法上の「労働者」に該当するかどうか、という点でした。
3 裁判所の判断
東京地裁は、次の点を重視しました。
- 契約書上「委任契約」とされていたこと
- 弁護士は独立性・裁量性が強く、案件受任の諾否も可能であったこと
- 報酬は案件成果よりも弁護士としての専門性を評価したものであり、労務の「対償性」が弱いこと
- 時間・場所的拘束も緩やかで、事務所の使用従属性が認めにくいこと
以上から、原告は労契法2条1項の「労働者」には当たらないと判断。
したがって、労働契約法18条による無期転換は適用されず、契約は期間満了で終了すると結論づけ、請求は棄却されました。
4 本件の意義
この事件は、高度な専門職である弁護士の「労働者性」が否定された点で注目されます。
通常、企業内の弁護士やアソシエイト弁護士は、勤務実態によっては労働者性が肯定される余地がありますが、本件では「裁量性・独立性」が強調されました。
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