自筆証書遺言、公正証書遺言を問わず、「せっかく書いた遺言が無効になる」のは非常にもったいないことです。事前に注意しておきたいポイントを解説します。

よくある遺言無効の例とその理由

1 日付の記載が不明確

例:「令和7年春頃」「2025年4月 吉日」など

• 理由:遺言は作成した日付が明確である必要があります。「〇年〇月〇日」の形式でなければ無効となる可能性があります。

• 対策:「令和7年4月3日」などと具体的な日付を書くこと。

2 署名がない/代筆されている

例:他人が書いた遺言書に本人が押印だけした

• 理由:自筆証書遺言は、全文・日付・署名をすべて本人が自筆する必要があります。代筆や他人の筆跡があると無効。

• 対策:必ず本人がすべて手書きで記載すること(認知症の進行前に書くことも大切)。

3 財産の特定が不十分

例:「○○銀行の預金を長男に相続させる」とだけ書かれている

(銀行名・支店名・口座番号などが記載されていない)

• 理由:どの財産を指しているかが明確でないと、遺言の執行が困難になります。

• 対策:財産は、銀行名・支店名・口座番号、不動産は登記簿情報などを正確に記載する。

4 意思能力の疑いがある状態で作成された

例:認知症が進行している高齢者が作成した遺言

• 理由:遺言作成時に「意思能力」(自分の財産と相続人を理解できる能力)がなければ無効と判断される可能性があります。

• 対策:高齢者が作成する場合は、医師の診断書を準備したり、公正証書遺言を利用することで信頼性を高める。

まとめ【遺言書を有効にするために】

遺言書は法的に強い効果を持ちますが、形式的な不備や記載ミスで無効になるケースも多くあります。

特に以下の点を意識しましょう。

• 日付・署名・押印を明確に

• 財産と受遺者を具体的に記載

• 高齢者や認知症のリスクがある場合は要注意

弁護士や公証人などの専門家に一度チェックしてもらうだけで、遺言の有効性と安全性は大きく高まります。

【監修】

米玉利大樹
米玉利大樹代表弁護士
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