借用書がなくても、諦める必要はありません

「借用書を作らなかった自分が悪い」「もう諦めるしかないのかな」——そう感じている方は多いです。しかし、借用書がなくても貸したお金を取り返すことは十分可能です。

日本の法律では、お金の貸し借りは口頭でも成立します(民法587条)。つまり、紙の借用書がなくても貸借関係は法律上有効であり、返済を求める権利はあなたにあります。

大切なのは「借用書があるかどうか」ではなく、「貸したという事実を証明できる証拠があるかどうか」です。LINEのやり取りや銀行の振込履歴など、身近なものが証拠になるケースがほとんどです。

まずは落ち着いて、この記事を読みながら手元にある証拠を確認してみてください。


1. 借用書がない場合に証拠として使えるもの

借用書がなくても、以下のものが「貸した事実」を証明する証拠になります。

LINEやメールのやり取り

最も一般的で強力な証拠です。「〇万円貸してほしい」「ありがとう、来月必ず返す」といったやり取りがあれば、貸借関係を示す証拠として十分機能します。

重要なのは、スクリーンショットだけでなくトーク履歴のバックアップを取っておくことです。相手にブロックされたり、トークを削除されても、自分のスマートフォンにバックアップがあれば証拠として使えます。

例:友人Aさんに30万円を貸したケース。「急にお金が必要で…30万貸してもらえない?」「わかった、今日中に振り込むね」「本当にありがとう。3ヶ月以内に必ず返す」というLINEのやり取りがあれば、これだけで貸借関係の証明になります。

銀行の振込履歴

銀行振込でお金を渡した場合、振込記録が残ります。通帳のコピーやネットバンキングの明細を保存しておきましょう。「なぜその金額を振り込んだのか」を説明できる他の証拠(LINEなど)と組み合わせると、より強い証拠になります。

例:元交際相手に50万円を振り込んだケース。振込明細と「借りたお金、分割で返していくね」というLINEがあれば、貸したことの証明は十分です。

会話の録音

「いつ返してくれるの?」という会話を録音し、相手が「もう少し待って」「必ず返す」と答えている場合、借金の存在を認めた証拠になります。自分が参加している会話であれば、相手の同意なく録音しても違法にはなりません。

第三者の証言

お金を貸す場面を見ていた人、貸した事実を相手から聞いた人などの証言も証拠になります。友人や家族が「〇〇が〇〇さんにお金を借りたと言っていた」と証言できる場合、これも有効です。


2. 借用書の代わりになる「確認書」を今から作る方法

まだ相手と連絡が取れる状況であれば、今からでも書面を作ることができます。これを「債務確認書」または「返済確認書」といいます。

以下の文例をLINEやメールで送り、相手に「わかった」「そうです」などの返信をもらうだけでも、法的な証拠として機能します。

【確認書の文例】

〇〇(相手の氏名)は、〇〇(あなたの氏名)に対し、 令和〇年〇月〇日に金〇〇万円を借用したことを確認します。

返済期日:令和〇年〇月〇日 返済方法:〇〇銀行〇〇支店 普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇〇

令和〇年〇月〇日 氏名:〇〇(署名)

相手が署名を拒否する場合でも、この文章をLINEで送って「これで合ってる?」と聞き、「うん」「そうだよ」という返信をもらうだけで証拠になります。


3. 関係別の対処法

友人・知人の場合

まずは穏やかに返済を求めることから始めます。「先日貸したお金なんだけど、そろそろ返してもらえると助かる」という形で、記録に残る方法(LINE・メール)で連絡しましょう。

口頭で話し合う場合も、事前に録音の準備をしておくことをお勧めします。話し合いがまとまったら、返済期日と金額を書面(LINEでも可)で確認してください。

彼氏・彼女・元交際相手の場合

交際中・交際後を問わず、貸したお金は返済を求める権利があります。感情的になりやすいケースですが、法的には純粋な金銭貸借の問題です。

「別れたから返さなくていい」「プレゼントだと思っていた」などと言われるケースがありますが、貸したことを証明できる証拠があれば対抗できます。連絡を無視されている場合は、内容証明郵便(後述)の送付が有効です。

例:元彼女に100万円を貸したが別れた後に返済を拒否されたケース。振込履歴と「100万円、就職したら返すね」というLINEがあり、弁護士を通じて全額回収できた事例があります。

家族・兄弟の場合

家族間のお金の貸し借りは最もデリケートです。「家族なのに訴えるのか」という感情的な反発が起きやすいですが、法的には他のケースと同じです。

家族関係を壊したくないという場合は、弁護士を間に立てることで感情的な衝突を避けながら解決できる場合があります。


4. 警察に相談できるケースとできないケース

「お金を返してくれないなら警察に行く」と考える方は多いですが、単純な貸し借りのトラブルは警察では解決できません。

警察が動けないケース(民事トラブル)は、借りたお金を返さない、返済の約束を守らない、連絡を無視しているといったものです。これらは「民事トラブル」であり、警察の管轄外です。警察に相談しても「民事不介入」として断られます。

警察が動けるケースは、最初から返すつもりがなく、嘘をついてお金を騙し取った(詐欺罪)場合や、脅して返済を迫った(恐喝罪)場合です。

詐欺罪が成立するには「最初から騙すつもりだった」という立証が必要で、ハードルは高いです。「返すと言ったのに返さない」だけでは詐欺にはなりません。


5. 内容証明郵便の使い方と文例

内容証明郵便とは、「いつ、誰が、誰に、どんな内容の手紙を送ったか」を郵便局が証明してくれる郵便です。法的な手続きの第一歩として非常に有効で、相手に「本気で回収する意思がある」と伝える効果があります。

【内容証明の文例】

通 知 書

私は、令和〇年〇月〇日、あなたに対して金〇〇万円を貸し付けました。 返済期日は令和〇年〇月〇日と約束しておりましたが、 現在に至るまで返済がなされておりません。

本書面到達後2週間以内に、下記口座へ全額をお振込みください。 振込先:〇〇銀行〇〇支店 普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇〇

上記期日までにご返済いただけない場合は、 法的手続きを取ることをここに通知いたします。

令和〇年〇月〇日 〇〇県〇〇市〇〇町〇番地 氏名:〇〇 〇〇

内容証明郵便はコンビニのネットプリントや郵便局窓口から送れます。弁護士名で送ると相手へのプレッシャーがより大きくなります。


6. 少額訴訟・支払督促の手続き概要

話し合いでの解決が難しい場合、裁判所の手続きを使う方法があります。

少額訴訟

60万円以下の金銭トラブルに使える、簡易的な裁判手続きです。原則1回の裁判で解決し、費用も数千円程度と安く、弁護士なしでも手続きできます。ただし相手が「通常訴訟に移行したい」と言えば通常の裁判になります。

支払督促

裁判所から相手に「お金を払いなさい」という督促を出してもらう手続きです。相手が2週間以内に異議を申し立てなければ、強制執行(差し押さえ)が可能になります。費用は少額訴訟より安く、申請書類も比較的シンプルです。

どちらの手続きも、相手の住所が判明していることが前提になります。

まとめ:まず証拠を確認・保全することが最優先

借用書がなくても、適切な証拠と手順があればお金は取り返せます。

今すぐやるべきことは3つです。LINEや振込履歴などの証拠をスクリーンショットで保存すること、まだ連絡が取れるなら返済の確認をLINEで文字に残すこと、50万円以上の場合や相手が無視している場合は弁護士に相談することです。

横浜キャピタル法律事務所では、借金の回収に関する初回相談を無料で承っています。「借用書がないから無理かも」と諦める前に、ぜひ一度ご相談ください。

【監修】

米玉利大樹
米玉利大樹代表弁護士
年間数百件の法律相談を受け、年間100件以上の法律問題を解決しています。
「より良い解決」「迅速な解決」を大事にしており、個々の事案に適したスピーディな進行・解決を心がけています。
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