― 手続違反を理由に懲戒解雇を無効とした裁判例
(大阪地裁令和7年10月17日判決)

会社が従業員を懲戒解雇する場合、問題行為があればそれだけで解雇は有効になるのでしょうか。
この点について重要な判断を示したのが、今回紹介する大阪地裁の判決です。


事案の概要

本件は、会社「トレーダー愛」と労働契約を結び、関連会社である「日本セレモニー」に出向して働いていた労働者が、懲戒解雇の有効性を争った事案です。

労働者は、

  • 懲戒解雇は無効である
  • 自分は現在も従業員としての地位を有する
  • 解雇後の未払い賃金を支払うべきである

として会社を提訴しました。

また、労働者は出向先企業から社宅を借りていたため、会社側は

  • 懲戒解雇によって社宅契約も終了した
  • 建物を明け渡すべきである

と主張し、社宅の明渡しなども求めました。


裁判所の判断

懲戒事由は存在するが、解雇は無効

裁判所はまず、労働者の行為について検討しました。

本件では、労働者が複数回の飲酒行為を行っていたことが認められ、会社の賞罰規程に照らして、懲戒事由自体は存在すると判断されました。

しかし、裁判所は次に、懲戒手続の適正さに問題があると指摘しました。

具体的には、

  • 懲戒処分を審議する賞罰委員会の構成が規程に反していた
  • 委員の選出について、労働者の過半数の支持があったとは認められない
  • 労働者の監督責任を問われ得る立場の者が委員に含まれていた

など、手続上の瑕疵があったと認定しました。

その結果、裁判所は

懲戒事由は存在するものの、適正な手続を経ていない以上、懲戒解雇は無効

と判断しました。


社宅明渡し請求の結論

会社側は、懲戒解雇を前提に

  • 社宅契約は終了した
  • 建物を明け渡すべき

と主張しました。

しかし、裁判所は

懲戒解雇自体が無効である以上、その前提も成立しない

として、社宅の明渡し請求なども認めませんでした。

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【監修】

米玉利大樹
米玉利大樹代表弁護士
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