少子高齢化に伴う人材不足の中で、従来の求人広告や人材紹介サービスに加え、「リファラル採用(社員紹介制度)」を導入する企業が増えています。
従業員の知人や友人を紹介してもらうことで、転職市場に出ていない人材を確保できる点が大きな魅力です。
一方で、紹介者にインセンティブ(報酬)を支払う仕組みを誤ると、違法と評価される可能性があることは意外と知られていません。
リファラル採用とは?
リファラル採用とは、従業員など社内関係者から応募者を紹介してもらう採用方法です。
外部エージェントを介さず、社内ネットワークを活用して人材を確保できるため、「社員紹介制度」とも呼ばれています。
メリットとデメリット
メリット
- 潜在層へのアプローチ:転職活動をしていない人材に出会える
- 応募増加:自社を知るきっかけが広がる
- 入社率向上:紹介者がいる安心感から内定辞退が減りやすい
- ミスマッチ防止:現場の実情を知った上で応募するため定着率が上がる
- コスト削減:求人媒体やエージェント費用を抑えられる
デメリット
- 社内の人材が似通い、多様性が損なわれるリスク
- 紹介に偏りが出ると派閥形成につながる可能性
違法とされる可能性があるケース
特に注意すべきは インセンティブの支払い方 です。
- 職業安定法の規制
職業安定法は「有料で職業紹介を行うには厚生労働大臣の許可が必要」と定めています。
そのため、紹介行為に対して報酬を渡すと「無許可の有料職業紹介」にあたるおそれがあります。 - 職業安定法40条の禁止規定
労働者募集に従事する従業員へ報酬を支払うことは原則禁止されています。
ただし、賃金や給与の一部として支払う場合は例外的に認められます。 - 違反した場合の罰則
違反があれば「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科される可能性があります。
導入時の留意点
- 就業規則・賃金規程の整備
インセンティブを給与として扱う場合は、支給条件や金額を就業規則に明記し、必要に応じて労基署に届け出る必要があります。 - 報酬額の妥当性
あまりに高額だと「業としての職業紹介」とみなされるリスクが高まります。エージェント報酬の相場(採用者の年収の約30%)を参考に、それを超えない範囲にとどめるのが現実的です。
まとめ
リファラル採用は、採用コストを抑えつつ優秀な人材を確保できる魅力的な手法です。
しかし、インセンティブの設計を誤ると「職業安定法違反」となるリスクがあります。
- 報酬は給与として支払う
- 規程を整備し、透明性を確保する
- 高額な設定を避ける
といった点を押さえながら運用することが重要です。
導入を検討する際や具体的な制度設計を行う際には、労務に詳しい弁護士へ相談し、法的リスクを未然に防ぐことをおすすめします。
【監修】
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