経営上の事情により、従業員の給与や労働時間を見直したいと考える経営者は少なくありません。しかし、労働条件の変更は労働者との契約内容に関わるため、一方的に行うことは原則として認められません。本コラムでは、労働条件の不利益変更を行う際の手続きや注意点についてわかりやすく解説します。

労働条件の「不利益変更」とは

労働基準法第15条では、使用者は労働契約を結ぶ際に労働条件(賃金、労働時間、休暇など)を労働者に明示する義務があります。また、労働契約法第8条では、労働条件は労働者と使用者の合意により変更できると規定されています。

したがって、労働条件を変更するには原則として労働者の同意が必要です。
「不利益変更」とは、従来の労働条件より労働者に不利な変更を指します。例えば、給与を30万円から27万円に引き下げる、労働時間を9時〜17時から9時〜18時に延長するといったケースです。


不利益変更の基本的な進め方

(1)労働者の同意を得る場合

まず、変更の必要性や会社の経営状況を労働者に説明し、理解を得ることが大切です。客観的な事実(同業他社の賃金水準など)を示すことで、合理性を示すことができます。

注意点として、同意を強要してはいけません。

  • 「同意しなければ会社がつぶれる」
  • 「同意しなければリストラ対象になる」

などの発言は違法で、後に裁判で「強要された」と主張される可能性があります。労働者の自由な意思に基づく同意を得ることが重要です。

また、就業規則に変更が必要な場合は、従業員全員の同意を得たうえで手続きを行い、常時10人以上の労働者を使用する会社は労働基準監督署への届出も忘れずに行いましょう。労働組合がある場合は、組合との合意も必要です。

同意は口頭より書面で残すことが望ましく、後のトラブル防止に役立ちます。

(2)同意を得ずに不利益変更する場合

労働契約法第10条に基づき、就業規則を変更することで労働条件の不利益変更が可能です。ただし、以下の要件を満たす必要があります。

  1. 変更後の就業規則を労働者に周知すること
  2. 変更内容が合理的であること(不利益の程度、変更の必要性、労働組合との交渉状況などを総合的に判断)

賃金減額は特に厳格に判断されますが、福利厚生の廃止などは比較的緩やかに認められる傾向があります。裁判例を参考に、変更内容の合理性を検討することが重要です。


まとめ

労働条件は労働者との契約内容ですので、一方的な不利益変更は原則認められません。

  • 同意を得て変更する場合は、労働者の理解と書面での記録が重要
  • 同意を得ずに就業規則で変更する場合は、合理性と周知が求められる

不利益変更を検討する際は、トラブルを防ぐために慎重に手続きを進めることが必要です。

【監修】

米玉利大樹
米玉利大樹代表弁護士
年間数百件の法律相談を受け、年間100件以上の法律問題を解決しています。
「より良い解決」「迅速な解決」を大事にしており、個々の事案に適したスピーディな進行・解決を心がけています。
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