交通事故は被害者だけでなく、加害者になった場合にも適切な対応が求められます。事故直後の判断が、その後の刑事処分・民事賠償・免許処分に大きく影響します。本記事では、交通事故の加害者になったときに知っておくべき対応を弁護士が解説します。
事故直後の初動対応
①負傷者の救護(義務)
道路交通法72条により、事故を起こした場合は直ちに車を停止し、負傷者を救護しなければなりません。救護義務違反は「ひき逃げ」として10年以下の懲役または100万円以下の罰金という重大な刑事罰の対象になります。
②警察への報告(義務)
物損・人身を問わず、事故が発生した場合は速やかに警察(110番)へ報告する義務があります。報告しないと報告義務違反となります。
③任意保険会社への連絡
加入している任意保険会社に事故当日または翌日に連絡します。以後の示談交渉・賠償対応は保険会社が窓口となります。
加害者が問われる3つの責任
交通事故の加害者は、同時に3種類の責任を問われる可能性があります。
- 刑事責任:過失運転致死傷罪(最高7年の懲役・禁錮、または100万円以下の罰金)
- 民事責任:被害者への損害賠償(治療費・慰謝料・休業損害・逸失利益)
- 行政責任:免許の点数加算・停止・取消
刑事事件化するかどうかは、事故の態様・被害の程度・被害者との示談の有無によって左右されます。被害者と示談が成立し宥恕(ゆうじょ)を得られた場合、不起訴や略式命令(罰金のみ)で終わる可能性が高まります。ただし、示談が成立しても刑事責任が自動的に免除されるわけではない点に注意が必要です。
保険会社任せでよいのか?
任意保険に加入していれば、民事上の賠償対応は保険会社が行います。しかし保険会社はあくまで賠償金を支払う立場であり、刑事事件の弁護活動は行いません。捜査が始まった・逮捕されたという場合は、刑事弁護に強い弁護士に別途依頼する必要があります。また、被害者が保険会社の対応に不満を持ち弁護士を立てた場合、交渉が難航することもあります。そのような場面でも弁護士が関与することで適切な対応が可能になります。
絶対にやってはいけないこと
- その場から逃げる(ひき逃げ・当て逃げ)
- 現場で「示談にしよう」と個人的に金銭交渉する
- 保険会社に黙って独自に交渉する
- SNSに事故の状況を投稿する
示談交渉で押さえておくべきポイント
被害者との示談は、刑事処分の軽減という観点からも重要です。被害者が宥恕(許す意思)を示した示談書が検察官に提出されると、不起訴や略式起訴(罰金のみ)で終わる可能性が高まります。ただし示談交渉はデリケートな場面であり、誠意を欠く対応は交渉決裂だけでなく処罰感情を強める逆効果になることもあります。保険会社に任せておけば済む場合もありますが、人身事故で重傷・死亡が関係する事案では、弁護士が直接交渉に関わることが適切です。
また、被害者が弁護士をつけて増額請求してきた場合、保険会社の担当者だけでは対応が難しくなることがあります。加害者側も弁護士を活用することで、過度な請求に対して適切に対応できます。
まとめ
交通事故の加害者になった場合、初動対応・保険会社への連絡・刑事手続きへの対応と、同時並行で多くの判断を迫られます。「保険があるから大丈夫」という思い込みは禁物で、刑事事件化した場合や被害者が弁護士をつけた場合は、早期に弁護士へ相談することが最善の結果につながります。
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