交通事故で怪我を負い、治療を続けても完全に回復しない場合、「後遺障害」として認定を受けることで追加の賠償を請求できます。しかし、後遺障害等級の認定率はわずか約4%。適切な申請を行わなければ、本来受け取れるはずの補償を逃してしまいます。本記事では、申請の方法と成功のポイントを解説します。

後遺障害等級認定の仕組み

後遺障害等級認定とは、交通事故による後遺症が自賠責保険の定める基準に該当するかを審査し、1級から14級までの等級を認定する制度です。認定されると、等級に応じた後遺障害慰謝料逸失利益を請求できるようになります。

審査は損害保険料率算出機構(自賠責損害調査事務所)が行い、提出された書類をもとに判断されます。面談ではなく書面審査が原則である点が重要です。

2つの申請方法──事前認定と被害者請求

事前認定

加害者側の任意保険会社に後遺障害診断書を渡し、申請手続きを任せる方法です。手間は少ないものの、保険会社が被害者に有利な資料を積極的に集めてくれるとは限りません。

被害者請求

被害者自身(または弁護士)が直接自賠責保険に申請する方法です。必要書類の準備に手間がかかりますが、自分に有利な医療記録や意見書を添付でき、認定結果に影響を与えやすいという大きなメリットがあります。

申請の流れ

① 症状固定の診断
これ以上治療を続けても改善が見込めない状態を「症状固定」といいます。主治医の判断で症状固定と診断されたタイミングで申請の準備に入ります。

② 後遺障害診断書の作成依頼
主治医に後遺障害診断書の作成を依頼します。この診断書の記載内容が認定結果を左右する最も重要な書類です。自覚症状や他覚所見が漏れなく記載されているか、必ず確認しましょう。

③ 必要書類の提出と審査
被害者請求の場合、後遺障害診断書のほか、レントゲン・MRIなどの画像データ、施術証明書などを自賠責保険会社に提出します。審査期間は通常1ヶ月から半年程度です。

認定を受けるためのポイント

後遺障害診断書の記載を充実させる
医師は治療の専門家であっても、後遺障害認定の専門家ではありません。記載が不十分だと、症状があるにもかかわらず非該当となることがあります。弁護士を通じて診断書の記載内容を事前に確認することが有効です。

通院を途中でやめない
通院頻度が低いと「症状が軽い」と判断される材料になりかねません。医師の指示に従い、適切な頻度で通院を継続しましょう。

検査を十分に受ける
神経症状であればジャクソンテストやスパーリングテスト、画像検査ではMRIなど、症状を客観的に裏付ける検査を受けておくことが重要です。

認定結果に納得できない場合

非該当や想定より低い等級が認定された場合、「異議申立て」を行うことができます。新たな医証(医師の意見書や追加の検査結果)を添えて再審査を求めることが可能です。

まとめ

後遺障害等級認定は書類審査であり、提出する資料の質が結果を大きく左右します。特に被害者請求で弁護士に依頼すれば、診断書の内容チェックから有利な資料の収集までサポートを受けることができ、適正な等級認定につながりやすくなります。

【監修】

米玉利大樹
米玉利大樹代表弁護士
年間数百件の法律相談を受け、年間100件以上の法律問題を解決しています。
「より良い解決」「迅速な解決」を大事にしており、個々の事案に適したスピーディな進行・解決を心がけています。
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