近年、配送業務やデリバリー業務に従事する人の多くが「業務委託契約」という形で働いています。しかし、契約書に「業務委託」と書かれていたとしても、実態によっては「労働契約」と認定される可能性があります。今回紹介する大阪地裁のUTS事件(令和7年4月24日判決)は、その点を改めて示す重要な裁判例です。
事件の概要
大学生だった原告は、合同会社UTSの指示のもと、大手宅配会社の営業所で荷物の仕分けや配送業務に従事していました。契約上は「配送1件あたり150円の歩合給」という形でしたが、勤務時間は会社のシフトに従い、業務内容も細かく指定されていました。
原告は「これは業務委託ではなく労働契約であり、未払いの歩合給や残業代が支払われるべきだ」と主張し、会社及び代表社員に対して賃金の支払いを求めて訴えを起こしました。
裁判所の判断
大阪地裁は、以下の点を重視しました。
- 仕事を断る自由がなく、会社のシフトに従って業務に従事していたこと
- 配送前後に仕分けや報告業務を行い、裁量の余地がほとんどなかったこと
- 使用する車両も会社から貸与され、事業者としての独立性が乏しかったこと
これらを踏まえ、実態としては会社の指揮命令下にあり、報酬も労務の対価と認められるとし、「労働契約」と判断しました。その結果、未払いの歩合給や残業代の一部について会社に支払いを命じています。ただし、代表社員に対する会社法597条に基づく損害賠償請求は認められませんでした。
本件の意義
この事件は、「契約書上の名称よりも、実態が労働契約かどうかで判断される」という労働法の原則を再確認させるものです。配送業務やデリバリー業務の現場では、名目上は業務委託でも、実態は従業員と同様に働いているケースが少なくありません。
事業者側にとっては「業務委託だから労働法は適用されない」と安易に考えるのはリスクが高いといえます。一方で働く側にとっては、未払い残業代や賃金請求の可能性があることを知っておくことが重要です。
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