「実家の土地の名義が、亡くなった祖父のままになっている」「引っ越したが、持っているマンションの登記簿の住所を変えていない」——こうした状態を放置できない時代になりました。所有者不明土地の解消を目的とした一連の法改正により、2024年4月から相続登記が義務化され、さらに2026年4月からは住所・氏名の変更登記も義務化されています。期限内に登記をしないと過料(金銭的ペナルティ)の対象になり得ます。本コラムでは、何をいつまでにしなければならないのか、名義が先代のまま長年放置されている場合にどう対処すべきかを、弁護士がわかりやすく解説します。
所有者不明不動産をなくすための法改正——全体像
所有者不明土地は全国の土地の約2割にのぼるとされ、公共事業や取引の大きな障害となってきました。その解消のため、次の3本柱の改正が段階的に施行されています。
- 相続登記の義務化(2024年4月1日施行)
- 住所・氏名の変更登記の義務化(2026年4月1日施行)
- 相続土地国庫帰属制度・共有制度の見直し(2023年4月施行)
相続登記の義務化——「3年以内」と「10万円以下の過料」
不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請することが義務になりました。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象となります。重要なのは、施行日より前に発生した相続も対象になっている点です。過去の相続分については2027年3月31日までが申請期限とされており、「祖父名義のまま」「曽祖父名義のまま」という不動産をお持ちの方は、すでにカウントダウンが始まっています。
遺産分割協議がまとまらず3年以内に登記できない場合には、相続人申告登記という簡易な制度を利用できます。自分が相続人であることを法務局に申し出るだけで義務を果たしたことになり、過料を回避できます。ただしこれはあくまで応急措置であり、遺産分割協議が成立したら、その日から3年以内に改めて登記する必要があります。
住所変更登記の義務化——2026年4月スタート、過去の引っ越しも対象
2026年4月1日からは、所有者の住所や氏名に変更があった場合、変更日から2年以内に変更登記を申請することが義務化されました。正当な理由なく怠ると5万円以下の過料の対象です。こちらも過去の変更が対象に含まれ、施行日前に引っ越し・結婚等で登記簿上の表記と現状がずれている方は、2028年3月31日までに変更登記をする必要があります。
負担軽減策として、個人は「検索用情報」を申し出ておけば、法務局が住基ネットの情報をもとに職権で(本人の手続きなしに)住所変更を反映するスマート変更登記の仕組みも始まっています。今後不動産を取得する方は、この申出をしておくと安心です。
「名義が祖父のまま」を放置すると起きること——数次相続の泥沼
相続登記をしないまま次の相続が発生することを数次相続といいます。祖父名義の土地について祖父の子らが亡くなり、孫・ひ孫の代になると、遺産分割協議に参加すべき相続人が20人、30人と膨れ上がることも珍しくありません。会ったこともない親族に連絡を取り、全員の実印をもらわなければ名義変更ができない——これが所有者不明土地問題の実態です。
こうしたケースへの対応策として、2023年4月施行の民法改正では共有制度も見直されました。所在不明の共有者がいる場合に、裁判所の手続きを利用して不明共有者の持分を取得したり、第三者に売却したりできる制度が新設され、連絡の取れない相続人がいても不動産を動かせる道が開かれています。当事務所でも、相続人調査から所在等不明共有者の持分取得の裁判手続きまで、一括してお引き受けしています。
いらない土地は手放せる?——相続土地国庫帰属制度
「遠方の山林や空き地を相続したが、管理できないし売れもしない」という場合、一定の要件を満たせば土地を国に引き取ってもらえる相続土地国庫帰属制度が2023年4月から始まっています。建物がある土地や担保権が付いた土地、境界が不明確な土地などは対象外で、承認された場合には原則20万円(土地の種類により加算あり)の負担金を納める必要がありますが、「負動産」を次の世代に引き継がせないための現実的な選択肢です。
まとめ——期限と過料の一覧
- 相続登記:取得を知った日から3年以内(過去分は2027年3月31日まで)/10万円以下の過料
- 住所・氏名変更登記:変更から2年以内(過去分は2028年3月31日まで)/5万円以下の過料
- 協議がまとまらないときは相続人申告登記で当面の義務を履行
- 所在不明の相続人・共有者がいても、裁判手続きで解決できる制度あり
名義の放置は、過料のリスクだけでなく、将来の相続人に「解きほぐせない権利関係」を残すことになります。相続人が多数にのぼる場合や、連絡の取れない相続人がいる場合こそ、弁護士の出番です。横浜キャピタル法律事務所では、相続人調査・遺産分割協議・裁判手続きまで一貫して対応していますので、お早めにお問い合わせください。
依頼の前に、まず相談したい方へ
いきなりの正式依頼が不安な方には、
気軽にご利用いただけるサービスをご用意しています。
- —不動産トラブル全般の相談(賃貸・売買・相続・共有等)
- —書類・契約内容の事前確認
- —LINEで24時間メッセージ送信可
- —月1,000円・いつでも解約OK
- —不動産取引トラブルの予防
- —不動産取引・契約書チェック・作成
- —トラブル着手時は優先対応
- —継続的な不動産法務リスク管理
まずはお気軽にご連絡ください。どのサービスが適しているかも含めてご案内します。
【監修】

- 代表弁護士
-
年間数百件の法律相談を受け、年間100件以上の法律問題を解決しています。
「より良い解決」「迅速な解決」を大事にしており、個々の事案に適したスピーディな進行・解決を心がけています。
まずはお気軽にご相談ください。
詳細は弁護士紹介ページをご覧ください。
最新の投稿
消費者被害2026年8月17日解体工事でアスベストの追加請求を受けたら|払う義務がある場合とない場合の分かれ目
企業法務2026年8月14日その連帯保証、無効かもしれません|2020年民法改正で使えなくなる3つのケース
債権回収2026年8月11日取引先が破産したら売掛金はどうなる?配当を待つ前に検討すべき3つの回収手段
企業法務2026年7月31日フリーランス法違反となる行為とは?勧告事例と企業が取るべき対応を弁護士が解説







